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一本の線の大切さ

2023年6月14日

一本の線の大切さ

前回に引き続き、建築の世界の奥深さについて触れたいと思います。

私は建築業界に転職する前に建築設計の専門学校に通いました。 その過程で偉大な建築家の建物を見たり触れたりして、空間の在り方を少しずつ体感し、図面で言えば一本の線の大切さを学びました。

そんな中、強烈な印象を受けたのが「吉田五十八さん」でした。吉田五十八さんは私の中では数寄屋建築を得意としていて、その見せ方が上手いという方です。

「猪俣邸」(東京都世田谷区)という住宅があり見学した時です。

強烈な印象といってもインパクトがあるということではなく、空間の切り取り方が他で見たことがない綺麗さで印象に残りました。

リビングから庭園を見たときに建具上端と軒ラインが揃っていて、外の景色が写真のように切り取られていて、他の場所も窓や建具の開口周りの納まりが綺麗で、その場にいればいるほど居心地が良かった記憶があり、そんな経験は初めてでした。

数寄屋造りの住宅ですが、最小限の部材で構成されていて、(最小限で見えるように見せているのだと思います)、それはイコール最小限の線で計算されて構成されているのだと気付きました。

設計する立場から見るとそれはなかなか簡単に出来ることではないですが、こんな仕事がしたいなと感じたし、 設計するときには少しでも真似してなるべく無駄なものをなくして、綺麗に 、そして一本一本の線を大切にしていきたいと感じた時間でした。

設計士として、使いやすさや色遣いが綺麗なことはもちろんですが、空間として綺麗に見えることを意識して工夫することが必要だと思います。これからも住宅であればそこで暮らす方に、店舗ではオーナーさん、店舗に来て下さるお客様に感動や喜びを与えられるような仕事をしていきたいです。

丸山でした。